ドラゴンクエスト3 リカバリーTA大会 観戦記

主催:東京大学ゲーム研究会  開催:2016.11.26  /  記述者:右弐  最終更新:2016.12.02
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はじめに

目次

プレイヤーと結果 /  第1問 /  第2問 /  第3問 /  第4問 /  全体の感想

今大会の関連サイト (2016年12月01日現在)

 ○ SFC版DQ3リカバリータイムアタック大会 < 東京大学ゲーム研究会 ※公式サイト
 ○ プレイレポート < 腹黒パンダさん 
 ○ 巻き戻りと制限の話 < 腹黒パンダさん 
 ○ 大会感想(前編) < けい坊さん 
 ○ 観戦メモ < まんさくさん 

注意事項

・ゲームの内容 / 問題の内容 / 解法、等、すべての種類のネタバレを含みます。
・筆者は運営関係者ではありません。このページは非公式のものです。
・当日、会場で配布されたリーフレットの情報は、必要に応じて記述させていただいております。
・記述は筆者の目視に基づくので、事実と異なる可能性があります。ご了承ください。

プレイヤーと結果

席順・着順・獲得ポイント

たらひろMaru腹黒パンダえぐち
第1問(カンダタ) 3位 / 5pt 4位 / 3pt 1位 / 10pt 2位 / 7pt
第2問(オーブ)  2位 / 7pt 3位 / 5pt 4位 / 3pt 1位 / 10pt
第3問(ソード)  リタイヤ / 0pt リタイヤ / 0pt リタイヤ / 0pt リタイヤ / 0pt
第4問(呪文)   リタイヤ / 0pt リタイヤ / 0pt 1位 / 10pt リタイヤ / 0pt
総合 3位 / 12pt 4位 / 8pt 1位 / 23pt 2位 / 17pt

第1問

問題内容

クリア条件:カンダタ2撃破
調査時間 :5分
制限時間 :40分

簡単な状況説明:
カンダタ1撃破済み
有効な換金アイテムの多い、アリアハン・イシス・ポルトガのアイテムは全て回収済み
ほしふるうでわ は残っている。他は破棄されている(いのりのゆびわ、ごうけつのうでわ、等)
所持金9000G
勇者Lv1 、ルイーダの店に、戦士、武闘家、魔法使い、僧侶、盗賊 が2人ずつ。すべてLv10。
各職業、男女1名ずつ。男がHPタイプ、女が素早さタイプの性格。

プレイ観戦記

全員、装備の調達→勇者のLvを上げつつバハラタへ→洞窟、の順でしたが、調達の時点で「9000Gで足りる」と考えたのか、が順位の別れ目になったようです。

たらひろさんか、Maruさんかは忘れてしまいましたが、ともかく、会場の左側のプレイヤーが、まず「ピラミッド」に突入。ここには換金に有効な ルビーのうでわ があります。そして、ビラミッドでは贅沢にもオリジナル音楽が流れます。その音を聞きつけたえぐちさんも、追って突入。

一方、その3人を尻目に、この時点で「勝った」と思った(プレイ後の本人コメント)のが腹黒パンダさん。ひとり、ピラミッドの金策を使わずにカンダタ2を倒し切り、1位での通過。この問題は、1位〜4位がタイム的に僅差ではあったものの、1位の腹黒パンダさんは上記の通り「戦略面」で他の3者とは別物、また、2位のえぐちさんは、ピラミッドのミイラ男×4の対処でも、ニフラムではなく、ラリホー + ギラ + 鞭の打撃 で倒して経験値を入れる、等、「戦術面」での違いが見られました。

ともかく、全員クリアで、リカバリータイムアタックの名にふさわしい(?)出だしとなりました。なお、この後の大会の展開に、この問題の結果はかなり重くのしかかってきており、結果論かもしれませんが、腹黒パンダさんはここで大きなアドバンテージを得たと考えます(とくに、第4問の選択肢の幅)。

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第2問

問題内容

クリア条件:オーブ1つの入手
調査時間 :5分
制限時間 :40分

簡単な状況説明:
赤、青、緑は回収済み。実質、銀か紫の回収。
ふなのりのほね 回収済み。あいのおもいで 未回収  やまたのおろち1は撃破していない。
勇者Lv16 他、遊び人と賢者を除く6職業がひとりずつ。僧侶がLv9、あとはLv16くらい。
所持金8000G  アイテムは、回収後破棄。
ただし、ほしふるうでわ はある。
また、ふうじんのたて てつのやり シルクハット ぬいぐるみ まふうじのつえ いのちのきのみ×10、など、気になるアイテムが残っている。

プレイ観戦記

やまたのおろちを倒して紫か、ネクロゴンドを抜けて銀かの2択。となると紫の「ボス撃破」に期待が集まります。Maruさんが空気を読んでか、いきなり突っ込むものの返り討ち。即座に、銀ルートへ変更。

他の3人は、装備をそろえてシナリオをすすめます。この道中では、えぐちさんが安定ぶりを披露。印象に残ったのが、ネクロゴンドの洞窟終盤のエンカウント、
ライオンヘッド+ガメゴンロード+じごくのきし への対処で、1ターン目に、ライオンヘッドにマホトーン、じごくのきしにニフラム と行動して危険を減らしてからの逃げ。この時点で進行度1位だったことも影響しているでしょうが、「戦術面」の対処にそつがない印象を受けました。

あとから追いかけるプレイヤーは、その分だけ対処に余裕がなくなるためか、こうしたケースに即逃げを選択する場面が多いように見られました。(※11.28追記:そもそも初期戦力では有効な対処法のないエンカウントも多く、そういったエンカウントを多く引いたプレイヤーの対処方針を誤解していたようです。まんさくさんの観戦メモを読み誤解を認識)。
それが最も裏目に出たのがこうした経緯もあり、腹黒パンダさんは、全滅した分で4位に後退。なお、Maruさんと腹黒パンダさんは、開始地点がボストロール撃破前だと勘違いしてたそうです(プレイ後の本人コメント)。プレイが始まってしまえば隣のプレイヤーのテレビが見られるので、すぐに気づけますが、調査時間は隔離されています。このため、おそらく調査時間に練った構想は無駄になり、根底から戦略を立て直したはずで、これが上位2者との差を生んだと推察します。

なお、問題作成版によると、きちんと練った場合に早いのは紫ルートとのこと。

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第3問

問題内容

クリア条件:バスタードソード入手
調査時間 :5分
制限時間 :50分

簡単な状況説明:
ラーミア復活済み、バラモス撃破前
勇者Lv34、戦Lv20、武Lv21、僧Lv13、魔Lv19、商Lv18、僧Lv18、遊Lv19 複雑な転職歴あり
ただし、バイキルトはだれも覚えていない
また、勇者は、力255、早2 体力153、HP333,MP130 という調整の入ったステータス

所持金はわずか200G
アイテムは回収済みで、ほとんど破棄 主な残存は、ほしふるうでわ、くさなぎのけん、いのりのゆびわ2個
そして、遊Lv19が、はんにゃのめん を装備。
ちいさなメダルの回収だけが別基準。「ルーラ登録されている場所と、すごろく場のもの」は回収済み
すでに36枚のメダルが渡してある。これはリーフレットに明示的には書かれていないが、メダルは破棄できないので必然的に渡してあることはわかる。

プレイ観戦記

バシルーラを活用してバラモスひとり撃破か、普通に撃破してからリムルダールまで行くかの2択。全員、後者を選択しているように見えました。

この問題は、どのプレイヤーも調査時間中に明確な勝ち筋が見いだせなかったようで、金策のためのちいさなメダルを回収する作業の傍ら、戦略を考えるといったプレイ展開でした。

えぐちさんのみバラモスを撃破できたものの、アレフガルドで無念のタイムアップ。1度はバラモスに敗れましたが、そこでどうやったら勝てるかが見えたとのこと(プレイ後の本人コメント)。Maruさんは回収すべきメダルの枚数認識のミスがあり(プレイ後の本人コメント)、腹黒パンダさんはメダルの位置を正確に把握していないためのロスが出ていました。なお、おそらく腹黒パンダさんのみが、遊Lv19が装備している はんにゃのめん の活用を目指したプレイをしており、Lv20にあげる→転職、を狙っていたのは見ていて面白かったです。

全員タイムアップでリタイヤとなったため、得点差はつきませんでしたが、えぐちさんが実力を示した1問となりました。

・・・と、普通はここで終わるのですが、実は、問題に隠された仕込みが2つあり、1つは おうごんのツメ のバグ(ピラミッドで全滅すると回収済みでも復活する) を活用し、金策する手法。このほうが、金額は限られるものの必要最低限の金策には早いらしいです。

そして、もう1つ、はんにゃのめん の回収のしかた。なんと、ルイーダの店に預けて、キャラを消すだけで、手元に戻ってくる仕様とのこと。ルイーダの店は最初から人数上限までLv1の商人で埋められているという作りこみ。この手法を用いて、はんにゃのめん を勇者に装備させることで、バラモスの突破率が大幅に改善されるとのことです。つまり、これは問題作成陣が、プレイヤー陣よりも一枚上手だったということでしょう。同じことは、 2010年のDQ4大会の「図鑑の仕込み」でも感じたことですが。ゲームの仕様を生かし切ったこの作りこみには感動しました。ただ、Lv19→Lv20で転職で外す、という手法でも十分に仕様の隙間を突いているような技であるため、こちらが半分ミスリードになっているぶん、気づくのは相当難しいと思います。おそらく、実際にこの手法をやったことが無い場合、どこかで読んでいたとしても選択肢に浮かばないような気がします。

なお、「すごろく場のものは回収済み」という条件が少し複雑で、これは複数のプレイヤーが勘違いしていました。読むと何気ないですが、実際にプレイヤーの立場でプレイすると、こうした恣意的な設定の把握はなかなか難しいです。

そして、全員に優勝の可能性の残る得点状況のまま、最終問へ進みます。

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第4問

問題内容

クリア条件:ゾーマ撃破
調査時間 :10分
制限時間 :110分−(戦闘中の「呪文」「ひのきのぼう」「ひかりのたま」以外の行動回数)×10分

特殊ルール:(戦闘中の「呪文」「ひのきのぼう」「ひかりのたま」以外の行動回数)×10分を、クリアタイムに加算(ペナルティ)

簡単な状況説明:
制限攻略。実際にターンを消費する「行動」をしなければOK(未遂で死ぬ、 装備変更もOK)混乱状況下はNG
オルテガ死亡済み
アイテム未回収、10万G、いのりのゆびわ×99 ひかりのドレス×3 ひのきのぼう×10 所持
勇者ロト女Lv31 、魔法使い男Lv34 が3人(性格は異なる)  僧侶女Lv30が3人(性格は異なる)

プレイ観戦記

制限事項として、「逃げる」「打撃」「道具(とくに賢者の石)」が使えません。プレイヤーは大筋で、
 パーティー編成 → 装備購入 → 稼ぎつつゾーマ城へ → 祭壇の3連戦+ゾーマ戦
と進めていきます。「戦略面」の差分で大きいのは2つあり、パーティー編成と、レベリング。

・・・ですが、操作ミスによる10分ペナルティが大きく、早々にえぐちさんが3回(=30分)→結局4回やらかしてしまい、ミス1回の腹黒パンダさんが優位の展開。Maruさんも3回、たらひろさんは最終局面に至るまでノーミスでしたが、最後に1回。このミスの回数分布が、対戦としての戦略選択にかなり影響していました。

えぐちさんは、この制限ではあまり活躍の場がない勇者を外し、僧僧魔魔 進行。上記の状況を踏まえ、もっとも早くゾーマに挑みますが、返り討ち。この時点でリタイヤ。

一方、腹黒パンダさんは、勇僧魔魔 で、祭壇3連戦までは最も早く抜けましたが、ここでいったんフロアを戻ってレベル上げ。勇者のベホマ・僧侶のフバーハ にとどまらず、魔法使いのメラゾーマまで入れて、ゾーマ戦は終始安定の上にかなりの速度で撃破。上記のペナルティ状況は当然踏まえていますが、ポイントが同点になった場合の順位づけルール(合計タイム)まで考慮に入れ、行動を選択していたそうで、状況から見て勝つのは難しくはなかったとのプレイ後の本人コメント。

Maruさんは、いのりのゆびわ を戦闘中に使えないことを失念しており、ゾーマのHPを削りきるまでMPがもたなくなって敗北。ただ、気づいた時点で、いちかばちか波動が来なければダメージ対MP効果の高いドラゴラムを使ったり、仲間にマホトラ撃って魔法使いのMPを補充したり、等、臨機応変にゲームの可動範囲を見せてくれたのは楽しかったです。

たらひろさんはゾーマに1敗したものの、唯一ミスなく進めていたため再戦で間に合う可能性がありましたが、最後の祭壇3連戦中に操作ミスを犯してしまい、ここで残り2分となってリタイヤとなりました。

なお、問題作成班の想定としては、パーティーは唯一えぐちさんが採用していた僧僧魔魔が良いとのこと。レベリングは、腹黒パンダさんくらい稼ぐのが安定もするし結局早い、という見解のようです。また、ひかりのドレスが3枚ある→ジパングのすごろく場がある→ほしふるうでわの2個めが取れる、という仕込みもありましたが、こちらは全員気づいていなかった様子。ただ、これに関しては認識もれがあるかもしれません。

この問題を通じては、腹黒パンダさんの強さが3点見えた気がしました。1点目は操作ミスを1回で押さえた点。2点目は、対戦の状況下を冷静に把握したうえで行動選択した点。そして3点目は、出題者に用意された仕込みを見切ることよりも、現実的な勝ち筋を見出すことに集中してプレイしていたように見えた点。
最後にレベルを上げたのもHPMP ※ が「ゾーマ戦で」足りないと判断したから(プレイ後の本人コメント)だそうで、つまり、そこまでレベリングをするかしないかの判断が保留できたプレイングになっています。これは対戦としては非常に強い選択になったのではないでしょうか(少なくとも対えぐちさんに)。また、パーティー編成がベストでなくても、レベルを上げればその差分は埋まってきます。骨太にクリアできる枠を組み立てた点に、ドラクエ3というゲームへの非常に深い理解が垣間見えた気がしました。
 ※部分 指摘により修正。

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全編を通じての感想

観戦のハイライト

ここでは、勝手に見どころとなった点を羅列していきます。全部主観です。
・第1問…勝敗は「戦略面」でついた
・第2問…勝敗は「戦術面」でついた
・第3問…問題作成班が、問題がプレイヤーの実力を測るに足るものであることを示した
・第4問…「対戦とは何か」が際立った

さいごに

以前のDQ4の大会から導入された事前のリーフレットの内容が充実したことで、ドラクエ3のRTA経験のない私でもかなり深いレベルで観戦を楽しむことができました。
上記のように、みごたえもあり、また、ここには書ききれなかった細かい好プレイや笑いもあり、非常に楽しめました。
いち観戦者として、問題作成や会場の設営、当日の運営など、特に準備にあたられた方々に感謝いたします。
また、プレイヤーの皆様には、おそらくこれ以上のプレイをできる人たちはいないだろうなと思わせられました。
最後に、えぐちさんもコメントされていましたが、8年前にReTAの第1回を観戦していた人間としても、感慨深いものがありました。今後も、競技のさらなる発展を祈りつつ、筆を置くことにいたします。
今回も、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
  2016.11.27 右弐

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