レベルアップでの吟味における留意点

吟味とは

値がある範囲に散らばる場合に、自分の欲する値が出るまで繰り返す作業のことを「吟味（ぎんみ）」と呼びます。
ニンテンドーDS版ドラクエ5では、レベルアップでの能力の上昇値や、種や木の実を使用した際の能力の上昇値が、この吟味の対象にあたります。
一方、繰り返す方法はセーブ＆リセット、時の砂の使用があります。
一般的に、やり込みの過程において、取り返しがつきにくく、運・不運が顕著に表われる試行に対し、この吟味という作業を行うケースが多いようです。

上吟味では確率を把握して現実的なプランニングを

最高値を出そうとする吟味を、ここでは「上吟味」と呼ぶことにします。
これは、同一の条件で最も強いキャラクターを作る吟味です。
ニンテンドーDS版ドラクエ5のレベルアップでは、基準値がいずれに設定されている場合でも、最大値の出現率は、他の上昇値の出現率以下となっているので、最大値を出すためには多少の根気が必要です。
ひとつの能力値に関して最大値を出すことは根性でなんとかなると思いますが、複数の能力値で同時に最大値を出そうとする場合には、現実的に不可能な確率になる可能性がありますので、注意が必要です。

最大値が出る確率の一覧表と計算式は、上昇値の出現確率で示しておりますが、ここに再掲します。

局所的に見ると、基準値がさほど異ならなくても、最大値が出る確率は k の値によって4倍程度の差が生じることがわかります。
全体として見ると、最大値が出る確率、その他のある値が出る確率は、ともに基準値の増加に反比例して緩やかに減少していきます。

図1：上昇値の出現確率（その他のある値・最大値）

基準値 3〜15 でのグラフを右図に示します。
最大値の出る確率は、化学でお馴染み(？)の電気陰性度のグラフと似た形になります。
周期性の中でどこに位置しているか、すなわち k の値に大きく依存することになるのです。

例１
・基準値 7　(上昇値　7,8,9)　　　最大値9が出る確率
・基準値10　(上昇値　10,11,12)　最大値12が出る確率
この比較で、上昇値が3つというのは同じであるのに、確率には3倍程度の開きが出ることがグラフから分かります。

例２
・基準値 7　(上昇値　7,8,9)　　　　最大値9が出る確率
・基準値14　(上昇値　14,15,16,17)　最大値17が出る確率
この比較では、なんと上昇値が4つある基準値14の方が、最大値が2倍程度も出やすいことがグラフから読み取れます。

このように、最大値が出る確率は k に強く影響されます。
このことを留意の上、k の値が大きいところで効率の良い吟味を行うよう、工夫してみてください。

例えば、「5回のレベルアップで、HPの最大値を3回出す必要がある」というような、要求のゆるい吟味であれば、k の大きいレベルアップで吟味を行えばスムーズです。
また、「3回のレベルアップで、HP、MP、力　すべて基準値よりも1以上高くしたい」というような、複数ステータスにまたがる吟味を行う場合も、どのレベルアップでどの能力値の吟味を行うのが効率的かを事前に把握することで、闇雲に吟味を行った場合の何倍もの効率化を得られる可能性があります。

下吟味は簡単

最低値を出そうとする吟味を、ここでは「下吟味」と呼ぶことにします。
これは、同一の条件で最も弱いキャラクターを作る吟味です。
最低値は基準値そのものであり、その出現確率は上述の議論より、必ず1/2よりも大きいことがわかります。
したがって、下吟味は簡単です。
7つの能力値の全てで同時に最低値（＝基準値）を出したい場合でも、その確率は、1/2の7乗 ＝ 1/128 よりは必ず大きくなります。（実際は、ここまで低確率となる基準値の組み合わせを持つレベルアップはほとんど存在しないため、実現ははるかに容易です。）