リカバリータイムアタックに関する考察

記述者:右弐  公開:2010.04.30  最終更新:2010.05.04
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本ページの趣旨

このページは、リカバリータイムアタック(以下、リカバリーTA)という競技について考察したものです。
東京大学ゲーム研究会により企画・主催された、2008年大会の観戦経験、2010年春大会の出場経験をもとに考察されております。(関連リンクは下記参照)

上記2回の経験を通して、いちドラクエプレイヤーである私、右弐が感じたこと。それは、「このリカバリーTAこそ、現存するやり込みプレイの中で、ゲームの上手さを計るに最もふさわしい競技なのではないか」ということです。
今後、この競技のさらなる発展と普及を期待しており、このページの考察がその一助となれば幸いです。

また、これまで大会を企画・運営された東京大学ゲーム研究会をはじめ、出場プレイヤー、観戦者の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。

目次

0.採点方法に関する考察 (2010.04.20 公開 別ページ)
1.問題難易度と制限時間について (2010.04.30 公開)
2.プレイヤーの調査時間について (2010.05.02 公開)
3.観戦者への準備について (2010.05.02 公開)
4.競技の今後について (2010.05.04 公開)
5.おわりに (2010.05.04 公開)

ドラクエのリカバリーTA 関連サイト (2010年4月現在)

リカバリーTA全般
 ○ 東京大学ゲーム研究会 (リカバリーTAという競技を最初に世に送り出した団体)
 ○ PS2版ドラゴンクエスト5 リカバリーTA大会 < 東京大学ゲーム研究会 (初回大会時の競技趣旨など)
 ○ えぐちの日記(2010年1月1日〜1月13日) < えぐちのホームページ (えぐちさん:競技の趣旨と魅力など)
 ○ Making of Recovery TA [1]〜[6] < ATP合成日誌 (0-shiさん:メイキングにまつわる裏話など)

2008年11月 ドラクエ5大会[PS2版]
 ○ PS2版ドラゴンクエスト5リカバリーTA大会結果報告 < 東京大学ゲーム研究会
 ○ 観戦記:まんさくさん < 勇者の里 南東のほこら
 ○ 観戦記:にゅすけさんの当時の日記(2008.11.23) < にゅすけ的やり込み攻略
 ◇ 観戦記:右弐

2010年3月 ドラクエ5大会[PS2版]
 ○ 2010春PlayStation2版 DRAGON QUEST V リカバリータイムアタック大会  < 東京大学ゲーム研究会
 ○ 観戦記:にゅすけさんの当時の日記(2010.03.21) < にゅすけ的やり込み攻略
 ○ 観戦記:まんさくさん < 勇者の里 南東のほこら
 ○ くねおさんの友人の感想 < Tales of Kuneo

1.問題難易度と制限時間について

考察のまとめ

まず最初に、まとめを書いておきます。

次項からは、なぜこのような方向が望ましいと考えたのかを各側面から説明します。

対戦という側面から

問題作成や制限時間設定に際して、「何と何を対戦させるのか」を決めることがまず必要だと考えています。

A  「プレイヤー」対「出題者」   : プレイヤーが、出題者が作った問題と戦う
B  「プレイヤー」対「プレイヤー」 : プレイヤー同士が、問題を通じて戦う

今までの大会での出題を見る限りでは、前者Aの度合いが強い問題や制限時間設定が多かったと思われます。2010年春の大会でプレイヤー参加した際にも、ほとんどAの感覚をもちつつのプレイとなったのをよく覚えています。
今後、大会を開催し運営される方がこのA、B、いずれの方向をより強く意識するのかはわかりませんが、私個人的にはプレイヤーがB の意識を強くもってプレイできる形のほうが良いのではないかと思います。複数人でプレイするせっかくの機会を生かした形を優先したいです。

B の方向の対戦を演出するためには、実は、問題の難易度は低くても構いません。
もともと「リカバリー」の意味である、通常プレイヤーが陥った危機的状況からのリカバリーという程度の平凡な状況設定でも、プレイヤー同士の対戦には十分機能すると思われます。クリアすることに関して難易度の低い問題ほど、逆にプレイヤーのタイムアタック能力が表に出ます。
また、クリアできた人数が多いほうが、タイムと順位で差がつけやすくなるので、制限時間は長めにとるほうが良いと思います。

観戦という側面から

観戦している方に問題をクリアするところを見せるためには、やはり制限時間に余裕を持たせることは必要だと思います。
問題の設定についてですが、これもやや簡単で平凡くらいのほうが一般的な観戦者層には何をやっているのかわかりやすく、したがってプレイヤーの力量や、対戦の焦点も伝わりやすいと思います。
プレイヤーと同等か、それ以上にマニアックな観戦者に対しては話は別かもしれませんが、そもそもそんなマニアックな人はプレイヤー側に回っていてほしいので、やはり一般的な観戦者層の方を意識するほうが良いと思われます。
一般的な観戦者層についてはくねおさんの友人の感想などを参考にしています。

問題作成という側面から

問題が「簡単・平凡」でも良いということになれば、作成のハードルが一気に低くなります。
必ずしも、そのゲームに関してマニアックな人が作らないといけないわけでもないです。A の対戦の構図を重視せず、B の対戦の構図を演出するというつもりで問題作成するならば、問題作成者はプレイヤーと勝負する必要がないわけです。

確かに、低レベルや制限攻略的な戦略を制限時間内に構築する能力をプレイヤーに期待するような問題なら、やはりマニアックな人による作りこみが必須です。プレイヤーに特定のマニアック知識を問うには、そのような問題もあったほうが良いのは確かです。

ここで言いたいのは、「そのような問題ばかりでなくても十分に機能する」ということです。
問題の難易度が低くても、前述の通りプレイヤー間の対戦が成立するのはもちろんのこと、「プレイヤーからマニアックなプレイを引き出す」という面に関してもプラスにはたらく可能性があります。
クリアまでの難易度が低ければ、そこに至る戦略にも幅ができるため、出題者が想定しないマニアックな戦略が出る可能性が高まるからです。
「出題者側が意図したある特定のマニアックさ」を求めるのなら、問題の難易度を上げてそれを要求する設定がよいですが、「出題者が意図しないプレイヤーのマニアックさ」を引き出すためには、問題の難易度は抑えて自由度が高いことも有効に作用します。

以上の観点から、今後リカバリーTAを企画される方には、「ゲームを良く知っている人しか問題を作れない」という呪縛から解法されてほしいと願っています。
リカバリーTAという競技が普及するためには、問題作成者という「運営」の立場の人に非常に高い「ゲーム能力」が要求されるという状態ではないほうが望ましいでしょう。
出題者は問題を通じて企画の前面に出ようとはせず、舞台を演出する裏方にまわるという意識のもとで、逆に気楽に問題作成ができるというスタンスでも良いのではないかと思っています。

問題に要求したいこと

ここまで述べると、「問題はどんなセーブデータでも良いのか」と思われてしまいますが、もちろんそんなことはないです。
難易度以外の観点で、問題作成にあたり気をつけてほしいと感じる点を列挙します。

必須と感じる項目:

あると良いと感じる項目:

さいごに

結局、リカバリーTAを企画する際のハードルを下げたい、という思いから書いています。書いたあと気づきましたが。
ゲームに対する知識というハードルを取り払うことで、逆にリカバリーTAに携われる人間を増やし、クオリティを上げることにつながることを期待しています。
そのゲームにも詳しくて、問題作成のセンスもあり、統一感も気にできる・・・という多才な人がそんなにいるわけがありません。
ゲームに詳しいよりも、センスよりも、統一感のあるデータが作れることが問題作成者には必要で、その人が作った普通の問題でもリカバリーTAは十分に面白いと思います。
・・・それで面白くならなければプレイヤーの力量の問題でしょう。
コースが普通だったらプロゴルファーのプレイがぜんぜん面白くない、とは、どうしても思えないのです。

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2.プレイヤーの調査時間について

調査時間に要求されること

プレイヤーに以下のことをさせるために調査時間は存在しています。

また、それとは別に要求されることもあります。

要するに、プレイヤーが効率よく情報収集ができるようにし、短時間でもクオリティの高いプレイができるような方向へ進化するとよいと考えています。

セーブデータの「状況説明書」を用意

運勝負にならないためには、「プレイヤーが適切な行動を取れば、調査時間内にセーブデータの状況を把握できる」ようにすることが必要です。
これに対する配慮として、2010年春大会では「アイテムの回収状況を統一」という措置が取られており、2008年大会と比較して大きな改善であったと感じています。

これを一歩推し進めて、「状況説明書」のようなものをプレイヤーに配布してしまうというのも手だと思っています。
これを配ることを前提にすることで、たとえば「ほとんどのアイテムは使えないように回収して破棄しておきたいけれど、このアイテムだけは未回収にしておきたい」などという問題の設定も可能になります。
「破棄できるアイテムは○○のダンジョンのものだけが残っています」という形や、「1000G以上の売却可能アイテムとGは回収後破棄してあります」というような形の統一も可能です。
また、ダンジョンの奥にいるボスが倒されているのかどうか、というようなチェックに時間のかかる情報に関しては、その時間を考慮して調査時間を設けてしまうと観戦には間延びすると思われますので、それだけ通知してしまったほうが良いです。

統一することで処理できる範囲(現時点で行ける範囲のアイテムはすべて回収/未回収、現時点で行ける範囲のボスはすべて撃破/未撃破、等)ならば、統一したほうがプレイヤーは状況理解がしやすいのでそれに超したことはないのですが、さすがに統一という方向をこれに以上推し進めていくと、問題作成に制限がかかりすぎてしまうような気がします。

「状況説明書」に記載する事項について

データを調べればすぐにわかる情報は、告知する必要はないと思います。
イベント進行から存在が確定するアイテムやボスについて、また、特定のアイテムの所持により撃破/未撃破がわかるボスについてなどは、告知しないことで逆にプレイヤーの知識を問うことができます。

しかし、データを調べればすぐにわかる情報を告知してしまっても、それほど問題にならないと考えます。
すぐわかる情報を告知してしまったことにより、何が起きるかと言えば、「その情報についての知識を、プレイヤーに問わない問題になった」というだけのことです。
一方、調査時間にわからない情報を告知しなかったことにより、何が起きるかと言えば、 「洞窟をもぐってみて、ボスがいないことに賭ける運勝負をするプレイヤーが出る」という、競技の意図に外れると思われるプレイを生み出す可能性があります。

また、何は告知しなければならない情報で、何は調べればわかるから告知の必要がないのか、という線引きに、かなりそのゲームの知識が要求されます。問題作成側に要求されるハードルはできるだけ低いほうが望ましいです。
前述のように、「勇み足」の告知してしまったことによる損害はそれほど大きくなく、単に他の要素で勝負する問題になるというだけです。ですので、「疑わしきは告知する」というスタンスで運営するならば、問題作成側のハードルは下げられるでしょう。
とにかく、問題作成側にマニアックな知識を必要とする形に競技が発展することだけは避けたいです。

さらに踏み込んだ例として、たとえば「所持アイテム一覧」と「仲間一覧」は毎回配布してしまう、という形にしても良いのかもしれません。
これらは調べればすぐにわかります。しかしプレイヤー全員が必須項目としてやらねばならないことであり、全員がほぼ同じプレイをするため観戦者には退屈な時間となることが多いと思われます。
また、「所持アイテム一覧」「仲間一覧」が紙媒体であるならば、プレイヤーはアイテムや仲間などのメモをとらなくて良くなり、紙媒体を見ながら別の調査プレイを実行できるので、調査時間をその分短くしてもプレイのクオリティが上がります。

一方、たとえば「アイテム回収状況一覧」を配ることについては、賛否が分かれそうです。
ここでは、すべての回収アイテムが一覧になっており「回収/未回収」が書いてある体裁の表を想定してみます。
まず、前述のように、その一覧の中には知識があれば回収/未回収の判断ができるアイテムも含まれるわけなので、プレイヤーのその知識により優劣をつけることができなくなります。同様に、どこに何があるのか覚えているという知識もあまり生かせません。また、一覧を配ることで、プレイヤーが本来なら忘れ去っていたアイテムに気付いてしまう可能性があります。

しかしそれでも、配布により深刻な事態となるわけではなく、単にその要素で勝負がつく問題ではなくなる、というだけです。
逆に、アイテム回収についての告知や統一性が欠けており、あるプレイヤーがあてにしていたアイテムがない、といったことが起きた場合は、そのプレイが詰んでしまい、デメリットが非常に大きいです。
出題者が知識に相当に自信のある場合以外は、大幅に告知してしまうくらいのほうが安全です。
なお、アイテム一覧を配るというのはあくまで一例です。これはさすがにやり過ぎだとしても、「すでに回収されているアイテムだけ載せた一覧」を配る程度のことは安全上行ったとしても、競技の面白さは崩れないのではないかと思います。

クリア条件の発表タイミング

ゲームのクリア条件の発表は、調査時間開始の少し前に、口頭説明を交えて行う形になっていました。調査時間の開始とは、「ゲームのセーブデータに触ってもよい」という合図となっていました。
これを「調査時間開始の瞬間に、掲示もしくは書面で配布する」という形に統一したほうが良いと思います。クリア条件に詳細な説明が必要な場合は、その詳細な条件までを文字にしておいて一斉に告知してしまい、それでもさらに疑問点がある場合のみ質問を受け、口頭で応答するという形式です。

前述の通り、プレイヤーが調査時間に行うのは、セーブデータの状態を理解することだけではありません。
たとえば、2008年大会の第4問「炎シリーズ装備品をそろえる」や、2010年春大会の第3問「ひとしこのみをそろえる」という問題の場合、プレイヤーはまず文献資料の調査にあたります。
つまり、「クリア条件を知った瞬間」から、時間に追われる勝負がスタートする形になるので、そのスタートの合図にあたる「クリア条件の発表」のタイミングと形式は重要で、統一したほうが良いと思うのです。
また、クリア条件が複雑なら詳しい説明を先に文字にしてしまったほうが、逆に運営側に要求される当日の説明力の負担も少なくなり、運営のハードルを下げることにもつながると思います。

先に述べた「状況説明書」と一緒に、B5の紙1枚くらいにまとめておいて裏返してプレイヤーの前においておき、開始の合図と同時にそれをめくるという、自動化を進めた形がよいのではないかと考えています。

さいごに

プレイヤーに対しては、「クオリティの高いプレイ」を期待し、
観戦者に対しては、「短いけれど単純でない調査プレイ」を提供し、
運営側には、「ゲーム知識、当日の説明の手間というハードル」を下げる、
という3つの狙いをもとに考えています。
実は最も意識しているのは3つめです。とにかく、リカバリーTAを企画する際のハードルを下げる方向にならなければと思います。問題作成者よりもマニアックなプレイヤーが出場した場合でも、競技として成立し、運営側は安心感をもって安全に運営できる形を大前提と考えています。
普及のためには、「速いクルマでなく、安全なクルマを設計しよう」という方向性です。

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3.観戦者への準備について

観戦者層の想定

前提として、次のような層の方々の観戦を想定します。

このような層の方に、より楽しんでもらえる形を目指すという方向で考えてみます。

観戦者には、「問題の情報」だけでなく「ゲーム自体の情報」も提供する

2008年大会、2010年春大会ともに、観戦者には「観戦ガイド」が配布されており、これは非常に良い配慮であったと思います。
どのような形なのか興味のある方は、PS2版ドラゴンクエスト5リカバリーTA大会結果報告の「配布資料」の項目の「leaflet.pdf」をご覧ください。

これを配布するという配慮自体が、観戦者の存在を前提としている大会として素晴らしいことなのですが、私が特に良いと感じたのは、そこに「問題となっているセーブデータの状況説明」が詳しく記載されていたことです。
当たり前ですが、観戦者は実際にゲームを操作しての調査プレイができません。そのため、プレイヤーが調査してはじめて得られる種類の情報もあらかじめ記載されているという配慮が為されていました。この配慮によりはじめて、観戦者はプレイヤーと同等の状況把握ができます。実際に2008年大会を私が観戦して非常に楽しめたのは、この観戦ガイドの存在なくしてはありえません。
また、観戦ガイドでは問題の主旨解説もされており、勝負のポイントが何になるのか伝わるようになっていました。

実際、(私のように)相当マニアックな観戦者層には、「セーブデータの状況説明」だけあればよいのですが、それではやはり観戦の間口が狭く、もったいない気がします。
観戦者の知識を要求するのは、競技の目的ではありません。
そこで、「問題となっているセーブデータの状況説明」だけでなく、「そのゲーム自体の仕様情報」も観戦者には与えてしまって良いのではないかと思います。
たとえば、
・「ちいさなメダルを集めよ」という主旨の問題であったら、ちいさなメダルリストを観戦ガイドに付録
・「仲間キャラの耐性を活用せよ」という主旨の問題であったら、仲間キャラの耐性表を観戦ガイドに付録
というところまで踏み込んだ準備があると、観戦する側によりプレイ意図が伝わり、楽しんでもらえると思います。

運営側の準備が若干増えてしまいますが、問題の本当にポイントとなる資料だけに絞り込んでも、かなり効果が期待できると思います。また、当日にその事項について解説する必要もなくなるので、解説者に要求されるハードルも下げられます。
今後、企画・運営される方には、ぜひ実現してほしいと期待しています。

プレイ内容をメインで解説する

前記のように、セーブデータの状況や、ゲームの仕様についての情報はできるだけ「観戦ガイド」に詰め込んでしまい、プレイ中・プレイ後の解説は、実際のプレイ内容をメインとしたほうが良いかと思います。

この意味で、問題作成者側が想定した最適戦略がある場合は、その概略を「観戦ガイド」に書いて配ってしまうのもアリなのかもしれません。プレイ後の解説の時間で、「実際に行われたプレイの解説」よりも「想定した最適戦略の解説」にまず時間が割かれる、というケースがありますが、まんさくさんの観戦記などを読む限りでは、解説があっても「想定解は緻密すぎて把握しきれない」という声もあるようです。
問題作成側の作り込みを伝えるためにも、解説内容を絞り込むためにも、あらかじめ書いたものを配布しておき、それをベースとして、プレイ後には感想戦と実際のプレイに関する解説を行うという形も良いのではないかと思います。(プレイヤーは簡潔な説明で想定戦略を理解できるという前提です。)
この事前配布は、観戦者が問題を一緒に考えるという楽しみは薄れてしまうため賛否があるかと思いますが、問題を一緒に考えるという層のほうが少数派のような気もします。実際のプレイを、想定された最適戦略と比較して楽しむ、という別種の楽しみ方が生まれるメリットも大きいのかもしれません。

キャラクターの名前の作りこみについて

これまでの大会では、「キャラクターの名前」にまで作りこみがなされており、毎回異なる名前が攻略へのヒントやネタになっていたものもありました。
しかし、とくに「主人公の名前」に関しての作り込みは、データを最初から作り直す必要があるため、問題作成側に相当の負担となっていたのではないかと推測されます。

そこで、キャラクター名前については、無理に作りこむ必要はないのではないか、と提案したく思います。
これは、作成側の手間軽減という側面だけではありません。
プレイヤーや、観戦する側としては、同じキャラの名前が毎回の問題で異なるよりは、デフォルトの同じ名前のほうが、プレイ状況が見やすいをというメリットが生じます。
キャラの名前を統一すると、当然、キャラの名前に関するヒントの仕込みや楽しみはなくなります。しかし、上述のようなメリットもあるので、「必ず毎問で変えなければならない」という呪縛からは開放されてほしいと思い、ここに提案しておきます。

さいごに

実際に大会の運営を見ていると、対戦環境を維持しつつ解説をするというのは大変なことだと感じます。解説者の力量に頼るところも大きいです。
ここでは、解説者の当日の現場力に頼らずに、システム面の準備で改善できる点はないかを中心に考えています。
結果として、運営側の「手間」がやや増える提案が多くなっていますが、運営側の「知識と現場での力量」というハードルは下げられると思います。
システムとしては、「プレイヤーと観戦者の音声的な分離」ができれば、解説者はいくらでもしゃべっても良くなるので劇的に変わるでしょう。くねおさんの友人の感想にある、「将棋の大盤解説」のような形が理想だと私も思います。
現状では設備的に難しいと思いますが、仮にそれが実現したとしても、解説者の力量や知識に依存するだけでなく、システムで「伝わる」形を模索することには意義があると思います。

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4.競技の今後について

真剣勝負と見世物

今後リカバリーTAという競技が、真剣勝負を重視するのか、見世物としての面白さを重視するのかによって、運営の方針も変わってくると思われます。
重視する方向により、問題の質や、採点方法なども影響を受けることになると考えられます。

例として適切かどうかはわかりませんが、
・真剣勝負を重視して発展してきた競技としては「レスリング」を、
・見世物としての面白さを重視して発展してきた競技としては「プロレス」を
それぞれイメージしていただければよいのではないかと思います。

リカバリーTAも、真剣勝負と見世物としての面白さのどちらをより重視するのか、という岐路に来ているのかもしれません。
ここでは、これら2つが両立する形での発展を目指す、という前提で考えます。

「真剣勝負の評価基準」と「見世物としての面白さ」を重ねる

結局、この両者に「重なっている共通部分」が大きいほど、「真剣勝負がそのまま面白い」という状態になり、両立の度合いが強いといえます。
このためには、「真剣勝負」と「見世物」という両者の側面からの評価を、互いに近づけていくことが必要です。
観戦者に向けて解説などを加えて状況を理解してもらうことで、観戦者が真剣勝負それ自体を楽しめるようにすることは、「見世物」を「真剣勝負」の側に近づけることになります。
一方、「見世物としての面白さ」を評価できるようなルールを作ることで、「真剣勝負」を「見世物」の側に近づけることもできます。
以下では、この2つの側面から方策を考えることにします。

観戦者を導く

観戦者に、より詳しく状況を理解してもらえれば、真剣勝負を楽んでもらうことができます。
また、観戦者が状況を理解していればいるほど、プレイヤーはごまかしが効かなくなるわけで、自然と真剣にならざるを得ません。

観戦者に状況を理解してもらうための準備として運営側でできそうな点は3.観戦者への準備について で述べたとおりです。
また、当日の運営だけに頼るのではなく、そもそもゲームやり込みに対する一般の認知度を上げていくことも重要だと感じています。私もいちやり込み人として、今後レポートなどの公開の際にはなるべく一般に向けた記述を心がけたいと思います。

プレイヤーを導く

質の高く、面白いプレイは「プレイヤーというタレントに期待する」という側面は確かに強いですが、プレイヤーはルールにより制限を受けています。
このため、逆に、ルールによりプレイを観戦者の面白いと思う方向へと導くことも可能だと確信しています。
要は、「見世物として面白いプレイ」が勝負としての側面でも高評価されるか、あるいは少なくとも減点にはならない評価基準の下で、プレイヤーに「真剣勝負」をしてもらう という方向へ、ルールを考えていけば良いのだと思います。
ここまで行ってきた、採点方法や運営面に関する提言などの多くの部分は、実はこの目的のためのものであり、そのため具体的な案についてはこれ以上書くことはあまりありません。

ここからは、少し、私のプレイヤーとしての側面から話をさせていただきます。
私が今回の考察に至ったのは、プレイヤー心理によるところが大きく、その動機を少しでも理解していただければ幸いです。

2010年春大会の第2問で私は、ボス撃破するという方向での戦略でプレイしています。
(なお、このコンテンツではゲームに関するネタばれを極力避けたいので、詳細はプレイレポートをお読みください。2010年春大会公式サイト にアップされる予定とのことです。)
これは真剣勝負という側面から考えると、おそらく不利な選択をしていたと思います。しかし、このときの私の判断基準はそこではありませんでした。他の3人と違う戦略をとったほうが「面白いから良い」という判断を、半ば直感的にしています。
そして、大会終了後に直接いただいた声や、後日Web上で読ませていただいた観戦記、またメールでいただいた感想などからも、この判断をして本当に良かったなと思えています。

この戦略判断が「見世物」としては成功。
それならば、問題設定・ルール・採点方法を改善することにより、「真剣勝負」を念頭に置いたプレイヤーでもこういう判断をしやすいようにすることこそ、「真剣勝負」と「見世物としての面白さ」を両立させるために、システム面に期待される改善なのではないか。

今回の考察や提案の大部分は、この経験と、それによって得た上記ポリシーがもとになっています。

実際このときの局面でも、大会のルールと場の状況は判断に大きな影響を与えており、それらが違えば(問題は同じでも)この戦略は選択できていなかったと思います。
ルール面では、採点方法が「リタイヤ1回で勝敗が決するような設定ではなかった」ことが、この戦略をとりやすくしてくれました。もし「一人だけリタイヤだと大きく不利になる」という採点方法であったら、この戦略をとるのは相当に難しく、つまりは「見世物として面白い戦略」は封じられてしまっていたと思います。
この考察が、0.採点方法に関する考察 のクリア点の礎となっています。
場の状況としては、全6問あるうちのまだ2問目であったこと、他のプレイヤーと得点差がついていなかったことで多少の失点は許容できる状況だったことが判断の要因になっています。
また、セーブデータの状態について詳細に把握するには調査時間が足りなかったため、途中の中ボスがすでに撃破されていたりなどの仕込みがあったらこの戦略でも不利ではないのかもしれない、という期待があったことも、判断に影響しています。状況がわかったあとで考えると明らかに不利な戦略だったのですが、判断した段階ではそこには不確定な要素がありました。
このことが、2.プレイヤーの調査時間について で提案した「状況説明書」の礎となっています。

次に、プレイヤーとしての観点でもうひとつ、2010年春大会の第5問についても付け加えて述べます。
この問題を私はクリアすることはできましたが、プレイの質としては改善できる点のあるものでした。
具体的には、「打撃するだけのキャラをAIにせず時間をロスした」という点であり、適切にAIにしていれば1〜2分程度は短縮でき、したがって質の高いプレイを見せることができました。

しかし、当時の自分には、このAIにするという案は絶対に思いつくはずはなかった、と断言できます。
すでにその程度のロスでは、他のプレイヤーに抜かれる可能性も、時間切れリタイヤとなる可能性も無いことはわかっていました。また、途中に打撃以外の行動をする可能性がほんの少しあったため、いざというときの操作ミスを考えるとAIにしたくないという心理も働いていました。
この時点ですでに第5問であり、プレイしている私としては「真剣勝負」の側に100%没頭状態だったので、それに関係しないプレイの質などには気が向きません。「真剣勝負」に影響しない事項に気づく可能性は限りなく0に近く、このためAIにすることはできなかったのです。

つまり、このAIにしなかったという行動は、
・「真剣勝負」という面では、まったくミスではない
・「見世物」としてのプレイの質は、悪いと言わざるを得ない
と、観点により評価が乖離していることになります。

では、どうなっていたら、ここでAIにできたのか。つまりは、見世物として質の高いプレイを「引き出して」もらえていたのか。
それには、「真剣勝負」としての評価に、「プレイの質」という要素を加えてもらうことです。
こうして考えたのが、0.採点方法に関する考察 のタイム点です。
実際にこのタイム点が導入されていたとしたら、当時の私が気づけていたという保障は、もちろんありません。
しかし、「ほぼ1位は確定でそれをキープする安全戦術ができたからそれでいいや」で終わっていたモチベーションが、
「ほぼ1位は確定でそれをキープする安全戦術が大前提だが、1分でも早くクリアできないだろうか」と進化していたのは確かで、AIに気づけた可能性、つまりは、より質の高いプレイが見せられた可能性は生まれていたと思います。

また、このような勝負として関係ない部分の話ならプレイ質などどうでもよいのではないか、と思われるかもしれませんが、大会などに出たいと考えるプレイヤーの多くは、どんな状況になっても目に見えるプレイの質は気にすることだと思います。
そこを明示的に評価してもらえることが、プレイヤーを助けることになり、無理なく質の良いプレイを「引き出す」ことにつながると考えています。
やはり、観戦者が「面白い、すごい」と思うプレイで、運営側からも高評価を得るという形が一番自然です。
この両者の評価が乖離することになると、プレイヤーは勝負と関係ない「サービス」としてプレイの面白さや質の良さを別途考えねばならなくなってしまいます。その結果、競技が「真剣勝負」と「見世物」を兼ね備えることができなくなり、どちらかだけのバランスに傾くことにつながると懸念しています。

あとひとつ、これはプレイヤー観点からはそれた余談になりますが、2010年春大会では、第6問の開始前にすでに5点の差が開いており、逆転は不可能な戦況となっていました。
しかし、見世物としては大逆転が可能なほうが面白いです。ただし、逆転できるようにするために最終問題だけ配点を変えている、という設定も説得力に欠けます。
この解決のための考察が、0.採点方法に関する考察 の制限時間による傾斜配点化、クリア点、順位点につながっています。

さいごに

「真剣勝負」と「見世物」のどちらを優先するのかは、プレイヤーの性格によるところも大きいです。実際に2010年春大会の第2問では、仮に問題設定がボス撃破にもっと厳しい状態であったとしても、私はやはり同じ戦略を選択していたと思います。
このように、プレイヤーの個人の性格や場の雰囲気、対戦状況によって「真剣勝負」と「見世物」のどちらを優先するのか判断は変わります。いくら真剣勝負を優先しているといっても、観戦者の存在を完全に無視できるプレイヤーでない限り、多かれ少なかれこの判断からは逃れられません。 (「恥ずかしくないプレイをしたい」などと思う場合がその好例といえます。)

プレイヤーとしては、できれば「どちらかを優先しなくては」というジレンマには陥りたくないです。
どちらも優先したプレイができれば、それに越したことはないからです。

質の高く、面白いプレイは「プレイヤーのタレントに期待する」という側面は確かに強いですが、ルールによる配慮や、状況をよく理解した観客が「プレイヤーから引き出す」という側面もあります。
競技の発展というのは、タレントに依存しない、この「引き出す」システムの発展ともいえると思います。
プレイヤーが普通に「真剣勝負」をすることが、観戦者への「見世物としての面白さ」に直結する。
そのような形へ、リカバリーTAという競技が発展することを期待しています。

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5.おわりに

目的とポリシー

今回、私が行った提案はすべて、個人の能力負担をできるだけ要求しないというポリシーで考えられています。

・プレイヤーには、観客に魅せるプレイなど意識する余裕はないかもしれない
・観戦者は、公式ガイドブックなどという重たいものを会場に持ってきたくはない
・運営側は、当日うまく解説できる人を用意できないかもしれない
・問題作成者は、独創的な問題ばかり求められても厳しいかもしれない
 また、制限時間の適切な設定は、相当難しいと考えられる
 問題ごとに、配点や、途中通過部分点などを妥当性をもって決めるのはストレスになるかもしれない

これらの前提でも、競技が成立するように考えたつもりではあります。
特殊な能力がなくても運営できるというシステムができた上で、個々の能力を発揮して面白くしていく、という形が望ましいと思っています。
現状では、運営するだけでも高い能力が要求されていると感じており、特にこのハードルを下げたい、という目的意識が強いです。その分、事前準備などで労力がかかる提案もありますが、能力でなく労力で補える形になったほうが、人が変わっても運営できるため競技を継承しやすくなると考えています。

さいごに

本当に長々と説明させていただきましたが、ここで行ったのは、あくまで「いちプレイヤーの考察」に過ぎません。
実際にはもっとよい方法があったり、微調整を加えたほうがよいということもあるでしょう。
本ページで行った説明は、そのような「今後の改善を前提とした提唱」という位置づけです。
したがって、賛否両方の見解が多数あるのは歓迎すべきことです。今回の考察がそれら意見の呼び水となり、次にリカバリーTAを企画・運営される方たちが取捨選択する材料となれば望外の喜びです。
また、本考察の内容に関する感想や質問等あれば掲示板 までお寄せください。可能な限りお答えいたします。
なお、リカバリーTAのルールや運営がどうあるべきか、という『議論』をするつもりは私にはありません。
何が採用に値する良いものなのかを決めるのは、実際に企画・運営する方たちの特権だと思うからです。
 2010.05.04 右弐


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